ドライマウス

ドライマウスはつらいんです。
「口が乾く」「のどが渇く」「口の中がザラザラする」「口の中がヒリヒリ痛む」「ネバつく」「味覚がおかしい」「飲み込みがつらい」
・・・ドライマウスの兆しは様々。

唾液(だえき)は1日に1,000〜1,500cc分泌されます。
その量が減ってしまうと様々な症状がおこります。

   

唾液が出ず、飲み込むのが辛いからと、普段から“おかゆ”で済ませていませんか?
栄養が偏ると、もっと唾液が出にくくなってしまいます。

  

意外とすごい、唾液の働き

食べ物を飲み込みやすくする(粘液成分:ムチン)

デンプンを分解する(消化酵素:アミラーゼ)

お口の中の乾燥を防ぐ(タンパク質:アルブミン)

味わいを敏感にしてくれる(ガスチン)

細菌の繁殖を抑制する(タンパク質:ラクトフェリン)

細菌に抵抗する(免疫抗体:IgA)

発癌物質を抑制する(ラクトペルオキシターゼ)

酸性・アルカリ性を中和する緩衝作用

血液中の化学物質や有害物質の排泄作用

唾液がホルモンとして脳に働きかけ、皮膚・歯・胃腸・血管などの細胞を増やす(内分泌作用:EGF)

神経成長因子を刺激して、神経節や神経線維の成長を促す(NGF)

口の中の刺激で嚥下反射や咳反射を惹起させる(神経伝達物質:サブスタンスP)

虫歯や歯周病・口臭予防としてだけでなく、癌予防・胃腸障害予防・認知症予防・誤嚥性肺炎の防止などまで効果がある、大切な存在です。


ドライマウスがおこると


その唾液量が低下してしまった状態を、ドライマウス(口腔乾燥症)といいます。
加齢変化・薬剤の影響・咀嚼機能の低下など様々な原因がありますが、特に重篤な症状は、80万人いるともいわれる摂食・嚥下障害になりやすくなることです。

摂食・嚥下障害とは、食物を「噛んで飲み込む」動作に不具合が生じることです。人間は、食べることが唯一の栄養供給ですから、体力・免疫力の低下も起こしやすく、それゆえに【もっと唾液が出にくくなる】という負のスパイラルが発生しやすくなります。
軽症であるほど自分自身ではその変化に気がつかない事が多いので、定期的に歯科検診などを受けられるときに、一緒にチェックされる方が、早期発見できるでしょう。


お口の中に原因がある場合

歯をしっかり磨いていますか?・・・歯周病をはじめとする炎症が続くことでも唾液は出にくくなります。

噛み合わせはあっていますか?・・・噛み合わせが悪い・顎関節症があるなども唾液腺の機能が弱まります。

よくおしゃべりしていますか?・・・会話や笑顔など、日常生活でも表情筋を動かしていなければ、唾液は減ります。

入れ歯はいつ頃作りましたか?・・・保険用の入れ歯などは耐用2年程度ですので安定が狂えば唾液量にも影響します。

もちろん、口内環境だけの原因ではないこともありますが、特にこれらが多いという実感があります。


まず簡単な予防法として「食事の前のブクブクうがい」を10秒ずつ3回してみましょう。適度な刺激で唾液が出やすくなります。

ドライマウスは 高齢者 だけでなく、中学生時代から10年間も苦しんでいたという方や、更年期 とともに症状となった方もいます。

状態を見極め、しっかりお話しさせていただくことで、原因を一つ一つ探っていき、必要な対処をしていかなければなりません。



歯科から行う治療

最初に唾液量を計測して、症状の度合いを測ります。
(噛み合わせや顎関節・筋肉状態の検査や、場合によってCTも撮ります。)
同時に糖尿病や高カルシウム血症の有無や、飲まれている薬もチェック。
 
そして歯科治療として行う方法で、効果があるかを探ります。
仮の噛み合わせ位置を作ってみることもあります。
 
そして本番の治療に移ります。

・ムシバなどで噛み合わせが狂っているなら再構成
・炎症があれば口腔衛生ケアで消炎させる
・筋肉の硬直があればマッサージや鍼を使う
・遠赤外線効果を利用したレーザーを用いる
・アゴの位置を正すためにマウスピース(スプリント)を作る
・噛み合わせを正すために、歯を作ったり、矯正をしたり
・着色歯などの審美性向上
   など、状態に応じて組み合わせた治療をします。
基本的に原因が歯にある場合は、これらの治療で早ければ1回目には効果が見られますが、確実な効果の定着をみるまで1週間・2週間・3週間・1か月・3か月・半年という期間で経過を見せに来てもらいます。
 

体調もコントロールします

また、特に高齢者の場合は様々な薬を飲んでいます。
単体でドライマウスになる可能性をもつ薬は500種類以上。
単体では問題ない薬も、複数を飲み続けることでドライマウスを引き起こすことも。7種飲むと65%がドライマウスだったという報告もあります。


このような方々には、かかりつけの医科にお手紙を書かせてもらい、変更できる薬があれば変更をお願いしますが、簡単に変更できない薬もあります。
そういう場合には、処方薬の説明書や検査データをご持参いただき、また、処方歴や体調をお聴きし、東洋医学診断で用いる舌診などから状態を把握、栄養学や薬膳の観点から、食材のアドバイスをさせてもらうようにしています。

良く噛めるように回復させることは、食べる意欲も湧くようになり、栄養の吸収率も改善します。
そこで意識的に病気や体調に効果のあるものを食べてもらえば、病気の改善につながり、処方薬が減らせるようになったり、カラダの細胞が元気になることで、結果的にドライマウスが改善することもあるからです。
口内環境のコントロールと食事からの体質コントロールが組み合わさることで、時間がかかるかもしれませんが、少しずつでも改善してくれます。
一緒に頑張っていきましょう。


ココロのケアも重要なファクター

若くても、精神的な問題からドライマウスがおこることもあります。
精神科や心療内科などで診てもらうことが一般的ですが、歯科で行う噛み合わせ治療がとても有効なこともあります。

精神的な問題を抱える方では、
「しっかり噛めていない」
「遊びがないほど緊密な噛み合わせとなっている」
「常に一定の歯に大きい負担がかかっている」
などの、どれかに当てはまることが多く、それを改善できれば精神状態が緩和されることも良く起こります。

ただ、ゆっくり、少しずつ、様子を見ながらの歯科治療となるため、歯科における主治医としての信頼を得て、コミュニケーションをとりながら、一歩一歩進んでいきます。「強めの精神症状」がある方では「現状」を「変える」ことに不安感をもち、ちょっとしたきっかけで、治療途中でも自己判断で中断となってしまうこともあります。

そのため、第一選択は口腔衛生ケアとマッサージ・ツボ押しなど。口内環境や筋肉にかかるストレスを取って、リラックスする習慣へと導きます。
また、食べるときの噛む位置や、鞄の持ち方など、悪化させない習慣に気を配ってもらうこともあります。
治療可能で、必要性がある場合には、噛み合わせ治療も考えていきます。

根本的な治療も大切ですが、「現状維持」や「今よりちょっと改善」を続けていくことも立派な治療の成果です。
しっかり時間をかけて、ちゃんと治していこうという方には、歯科からできる最善のサポートをしたいと思います。

ドライマウスに気づいたら、早めに対処を

ドライマウスは、放置しないでください。
口の渇きからくる痛みで、食事する事も嫌になり、小食になる事で必要栄養素が不足すれば免疫力や再生力に影響を与え、さらに唾液が出なくなります。
末期になると人工唾液をスプレーしなければならない状態もあります。それは心理的にもっと辛いことでしょう。
時間をかけてでも、しっかりと自分の唾液が出るように・・・症状が軽いうちから、相談して下さい。

あっぷるいーと吉祥寺歯科でのドライマウス治療主要一覧表

  保険 自費 無料(治療同時施行)
検査 ムシバ検査 歯列矯正検査 簡易唾液状態検査
ブラッシングレベル検査 唾液機能検査 簡易骨量・筋肉量検査
歯周ポケット検査 歯周病菌培養検査
動揺度検査 毛髪ミネラル検査
X線パノラマ検査 CT検査
口内写真検査 日和見感染菌培養検査
模型検査 インプラント検査
治療 ムシバ治療 審美歯冠修復 ブラッシング指導
保険用欠損歯修復 自費用欠損歯修復 栄養指導・アドバイス
無髄歯漂白 クリーニング・PMTC フェイササイズ指導
咬合調整 ホワイトニング 咀嚼筋マッサージ
スケーリング ラミネートべニア 唾液線マッサージ
ディープスケーリング ホワイトコート
入れ歯・差し歯 歯列矯正
インプラント
アタッチメント義歯
咬合再形成
針治療
顎位機能矯正
オーラルトリートメント
歯冠 レジン ダイレクトボンディング
形態 ノンプレシャスメタル プレシャスメタル
修正 ハイブリッド
素材 セラミック
メンテナンス 各種検査 各種検査 各種検査
スケーリング クリーニング・PMTC ブラッシング指導
ディープスケーリング ホワイトニング 栄養指導・アドバイス
咀嚼筋マッサージ

※ドライマウス治療における選択肢ですので、すべてを行うわけではありません。
各治療の詳細は、院内冊子などで情報発信しています。(定期的に更新中)

 

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